奥出雲多根自然博物館

島根県は出雲の山奥にある小さな自然史博物館ですが、日本で唯一かもしれない宿泊でできるミ…

奥出雲多根自然博物館

島根県は出雲の山奥にある小さな自然史博物館ですが、日本で唯一かもしれない宿泊でできるミュージアムです。 アロサウルスやエウオプロケファルスの全身骨格がお出迎えしてくれます。

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  • 奥出雲のジオ

    奥出雲多根自然博物館の学芸員がお届けするジオマガジン的な何か。あまり知られていない、神話よりはるか昔の、奥出雲の大地の物語に関する記事を掲載していきます。

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地形図で見る奥出雲 奥出雲のジオ 入門編6

地形図をながめてみよう 国土地理院 https://www.gsi.go.jp/ のサイトへ行き、地理院地図を見るをクリックすると、オンラインで2万5千分の一の地形図を閲覧することができます。以下、地理院地図を利用して紹介していきます。   左上に表示される「地図を選択」をクリックすると地図の種類の選択画面が現れ、その中の「標高・土地の凹凸」をクリックし、「色別標高図」をクリックすると、陰影の強調された段彩図が表示されます。  段彩図で見てみる  陰影で谷地形と尾根が

    • ナゾの地形 天然記念物「岩屋寺の切開(いわやじのきりあけ)」 奥出雲のジオ 入門編5

       奥出雲町にはジオに由来する天然記念物が二つもある珍しい町です。  一つは「鬼舌振(おにのしたぶるい。一般的には鬼の舌震いと表記されるが、天然記念物の名称としてはこちらが正しい)、もうひとつは今回のタイトルにもなっている「岩屋寺の切開」です。  両方とも堅牢なカコウ岩を穿つ谷地形ですが、規模としては鬼舌振に軍配が上がります。  ではなぜ、切開が天然記念物になったのでしょうか?  岩屋寺は奥出雲町橫田にある天平勝宝8年(756年)創建の古寺で、現在は無住の寺となっています。

      • 天狗の仕業?権現山の奇石「天狗岩」 [奥出雲のジオ 入門編 4]

         巨大な岩は人を惹き付けるものがあるのか、観光地になっている巨石や変わった形の石、巨岩や崖などの絡んでいる観光地はよくあります。奥出雲で巨石がゴロゴロしている渓谷として有名なのは鬼の舌震い(正式名称は「鬼舌振」)で、今の時期には紅葉狩りに多くの観光客が散策に訪れます。  奥出雲町は主に花こう岩類が広く分布している場所ですので、巨石もまたたいていは花こう岩類です。元々は地下に形成された巨大なマグマだまりが10万年以上かけてゆっくりと冷え固まるものですので、地表に露出した場合は

        • たたら製鉄を生んだジオとは?  [奥出雲のジオ 入門編 3]

           さて、梅雨時期になると、局地的な大雨で土砂災害が起こりやすくなります。中国地方では数年に一度の割合で大規模な土砂災害が起こっていますが、地盤の地質が【風化花こう岩】からなる場所で起こることがよくあります。花こう岩は地下深い場所でマグマがゆっくりと冷えて固まってできる深成岩の一種で、風化していない場所では堅牢で非常に強い岩盤を作ります。場所によっては、長い時間をかけて岩盤の割れ目からしみこんだ地下水により、花こう岩を作る鉱物同士をくっつけている部分が粘土化して鉱物がバラバラに

        地形図で見る奥出雲 奥出雲のジオ 入門編6

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        • 奥出雲のジオ
          6本

        記事

          奥出雲で最も古い岩石とは?[奥出雲のジオ 入門編 2]

           博物館で化石が展示してあるのを見た利用者さんからの質問で最も多いのは「このあたりから化石が出たんですか?」というもの。そうなんですよね。自然博物館でたくさん化石が展示されていたらそう思われるのも不思議ではないよね。でも、残念ながら奥出雲町ではほとんど化石は出なくて、某メガネ会社(お城の建物)の創業者がこの博物館のある集落佐白(さじろ)の出身で、そのあたりから・・・・というお話になります。  一般的には「化石=恐竜」と思われがちなのですが、残念ながら奥出雲町で見つかる化石は、

          奥出雲で最も古い岩石とは?[奥出雲のジオ 入門編 2]

          奥出雲を作る岩石 [奥出雲のジオ 入門編 1 ]

           奥出雲町は古くから風化した花崗岩類(花崗閃緑岩や閃緑岩、トーナル岩などからなる)より産出する砂鉄を用いた「たたら製鉄」が行われてきました。この花崗岩は約6000万年前に地下深部で活動していたマグマがゆっくりと冷えて固まったもので、出雲南部を中心に東は鳥取県西部から西は三瓶山の西部まで広がる巨大な岩体を作っています。といってもすべてが同じタイミングで地下から上昇してきたものでは無く、何度かに分かれて比較的短期間に上昇してきたもののようです。  奥出雲の90%以上にはこの花崗

          奥出雲を作る岩石 [奥出雲のジオ 入門編 1 ]

          八代川のオオサンショウウオ

           10月6日にオオサンショウウオの後援会と観察会が開催されました。  オオサンショウウオは国の特別天然記念物で、世界で最も大きい両生類でもあり、日本固有種です。西日本の河川に生息しているものの、河川改修や堰堤などの設置などでその生息域はどんどん狭められていっています。またその生態も謎になっている部分も多く、調査研究が進められています。  奥出雲多根自然博物館のある布勢地区には一級河川斐伊川の支流である八代川という川が流れていますが、ここに多くのオオサンショウウオが生息して

          八代川のオオサンショウウオ

          エントランスホールにて

           こんにちは。奥出雲多根自然博物館入り口で皆さんのお越しをお待ちしていますアロサウルスです。  特にニックネームはついていません。時々目が光ります  ずっと昔からこの姿勢でゴジラみたいに歩かないといけないので、腰が痛くなりました。早く現代のイケてるスタイルにしてほしいのですが、上司がなかなかうんと言ってくれません。まだしばらくはこの姿勢で、お客さんをお偉そうに見下ろすことになりますね。申し訳ない。  アロサウルスといえばジュラ紀。ジュラ紀といえばステゴサウルス。われわれ

          エントランスホールにて

          アイアンボーンダイノソー 鉄骨の恐竜たち 期間延長

           奥出雲と言えば古より続くたたら製鉄が盛んであった町として知られています。  ということで、現在、博物館では引き続き鉄製の恐竜骨格の展示を引き続き行っております。  制作は岡山県倉敷市にあるアイゼンファシル社。実物大のプロトケラトプスを始め、小さなトリケラトプスやアロサウルス、モササウルス、スピノサウルスを展示しています。  特に岡山理科大学の監修を受けたプロトケラトプスは特に精巧に作られており、フリルのようなエリの絶妙な曲線の作り込みには思わず唸ってしまいます。  

          アイアンボーンダイノソー 鉄骨の恐竜たち 期間延長

          note開始、はじめましてのごあいさつ

          奥出雲多根自然博物館は1987年(昭和62年)に生まれた自然史博物館です。主に化石や鉱物の展示で、生命の進化や地球の歴史、人の出会いの不思議さを感じ取っていただくミュージアムとなっています。  当初はメガネの三城と旧仁多町(現在の奥出雲町)の出資による第3セクターとしての出発でしたが、1990年(平成2年)に登録博物館となり、財団法人奥出雲多根自然博物館としてリニューアルしました。その後2011年に公益財団法人として登録と同時に一部リニューアルを行い、現在では宿泊できるミュ

          note開始、はじめましてのごあいさつ