見出し画像

八代川のオオサンショウウオ

 10月6日にオオサンショウウオの後援会と観察会が開催されました。

 オオサンショウウオは国の特別天然記念物で、世界で最も大きい両生類でもあり、日本固有種です。西日本の河川に生息しているものの、河川改修や堰堤などの設置などでその生息域はどんどん狭められていっています。またその生態も謎になっている部分も多く、調査研究が進められています。

2012オオサン

 奥出雲多根自然博物館のある布勢地区には一級河川斐伊川の支流である八代川という川が流れていますが、ここに多くのオオサンショウウオが生息しています。2010(平成22)年より、当館、公民館、布勢小学校の協力で調査が行われており、多数の個体が確認されています。ここ数年で生体認証用のチップの活用を始めたこともあり、より確実な個体判別ができるようになりました。

2010夜間調査

 初期には活動が活発になる夜間に調査を行っていましたが、子供たちの帰宅が遅くなることや、小学校の教育行事として定着させたいと言うことも有り、4回目以降は昼過ぎから夕方にかけて行われています。

身長計測中

2014オオサン

2014オオサンb

 身長と体重を測った後は、以前は身体の斑紋や手や指の有無、しっぽの傷などから個体識別を行っていましたが、写真の3個体のように明らかに明瞭である場合は良いのですが、微妙な文様の持ち主もいるため、これではなかなか難しいところもあることから、確実性を高めるためにあえてチップを入れています。

 八代川のオオサンショウウオは、昼間でもしばしば川の中をうろついており、その姿は良く町の人たち飲めに止まっており、身近な存在となっています。

昼間の八代川

昼間の八代川2

画像9

 オオサンショウウオの頭部にある目は、個体が大きくなればなるほど埋もれてしまい、頭部にあるイボ状の感覚器で水の流れの変化からエサや危険を察知すると言われています。

オオサンショウウオの頭部

 繁殖期におこる、産卵を巡る争いは激しく、中には尾びれをかじられた個体や、指を切断された個体、手を切断された個体などもいます。

左手がなく痩せている個体

先日行われた調査では、7頭が捕獲され、うちチップの入っていない個体が5頭もいたため、今年の夏の台風や大雨などで上流から流されてきた個体が混じっていると推測されます。また従来確認されていた個体は下流に流されている可能性があります。八代川の取水堰は垂直のものもあり、下流に流されると元の場所に帰ってこれなくなっている可能性は高くなります。下流の調査は今後の課題です。

 調査の終わった個体は、元いた場所放流されますが、毎年捕まっては身体をいじくられまくるオオサンショウウオにとっては、けっこうな受難の時期になってしまい、申し訳ないなぁ、と思いつつ川に入ります。


2010放流直後

2015放流後の上流1200dpi

チラシ