奥出雲多根自然博物館

島根県は出雲の山奥にある小さな自然史博物館ですが、日本で唯一かもしれない宿泊でできるミュージアムです。 アロサウルスやエウオプロケファルスの全身骨格がお出迎えしてくれます。

奥出雲多根自然博物館

島根県は出雲の山奥にある小さな自然史博物館ですが、日本で唯一かもしれない宿泊でできるミュージアムです。 アロサウルスやエウオプロケファルスの全身骨格がお出迎えしてくれます。

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    奥出雲多根自然博物館の学芸員がお届けするジオマガジン的な何か。あまり知られていない、神話よりはるか昔の、奥出雲の大地の物語に関する記事を掲載していきます。

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天狗の仕業?権現山の奇石「天狗岩」 [奥出雲のジオ 入門編 4]

たたら製鉄を生んだジオとは?  [奥出雲のジオ 入門編 3]

奥出雲で最も古い岩石とは?[奥出雲のジオ 入門編 2]

奥出雲を作る岩石 [奥出雲のジオ 入門編 1 ]

天狗の仕業?権現山の奇石「天狗岩」 [奥出雲のジオ 入門編 4]

 巨大な岩は人を惹き付けるものがあるのか、観光地になっている巨石や変わった形の石、巨岩や崖などの絡んでいる観光地はよくあります。奥出雲で巨石がゴロゴロしている渓谷として有名なのは鬼の舌震い(正式名称は「鬼舌振」)で、今の時期には紅葉狩りに多くの観光客が散策に訪れます。  奥出雲町は主に花こう岩類が広く分布している場所ですので、巨石もまたたいていは花こう岩類です。元々は地下に形成された巨大なマグマだまりが10万年以上かけてゆっくりと冷え固まるものですので、地表に露出した場合は

たたら製鉄を生んだジオとは?  [奥出雲のジオ 入門編 3]

 さて、梅雨時期になると、局地的な大雨で土砂災害が起こりやすくなります。中国地方では数年に一度の割合で大規模な土砂災害が起こっていますが、地盤の地質が【風化花こう岩】からなる場所で起こることがよくあります。花こう岩は地下深い場所でマグマがゆっくりと冷えて固まってできる深成岩の一種で、風化していない場所では堅牢で非常に強い岩盤を作ります。場所によっては、長い時間をかけて岩盤の割れ目からしみこんだ地下水により、花こう岩を作る鉱物同士をくっつけている部分が粘土化して鉱物がバラバラに

奥出雲で最も古い岩石とは?[奥出雲のジオ 入門編 2]

 博物館で化石が展示してあるのを見た利用者さんからの質問で最も多いのは「このあたりから化石が出たんですか?」というもの。そうなんですよね。自然博物館でたくさん化石が展示されていたらそう思われるのも不思議ではないよね。でも、残念ながら奥出雲町ではほとんど化石は出なくて、某メガネ会社(お城の建物)の創業者がこの博物館のある集落佐白(さじろ)の出身で、そのあたりから・・・・というお話になります。  一般的には「化石=恐竜」と思われがちなのですが、残念ながら奥出雲町で見つかる化石は、

奥出雲を作る岩石 [奥出雲のジオ 入門編 1 ]

 奥出雲町は古くから風化した花崗岩類(花崗閃緑岩や閃緑岩、トーナル岩などからなる)より産出する砂鉄を用いた「たたら製鉄」が行われてきました。この花崗岩は約6000万年前に地下深部で活動していたマグマがゆっくりと冷えて固まったもので、出雲南部を中心に東は鳥取県西部から西は三瓶山の西部まで広がる巨大な岩体を作っています。といってもすべてが同じタイミングで地下から上昇してきたものでは無く、何度かに分かれて比較的短期間に上昇してきたもののようです。  奥出雲の90%以上にはこの花崗